川風

                     酔人酔夫(セ−リングクルー)

 

夕暮れ時は、川風がよろしい。 港内帆走禁止を尻目に、

3人のヨッパライと、おねえちゃんひとり、

三突手前でアビームの風に帆走状態 スピネ−カーをUP、

港大橋を抜け、尻無川河口 大正内港、真追っ手の風、

3人のヨッパライは、ひたすら酒 おねえちゃんひとりスピントリム 

それを肴にビ−ルがうまい、

実はワインは、コントロールミスでこぼしてしまう、もったいない、

大阪造船をすぎ すこし北向きになる。工場で風が遮られる、

次の瞬間、フレッシュウインドがはいる、浪切音がおおきくなる。

ビールがうまい、また風がシフト、酒を片手にヒゲのにいちゃん

ヒューマンポール、ガイシートは、ズボラおやじが、

たまにごきげんトリマー 

ヘルムスのおっさんは、ひたすらビール おねえちゃんの

スピントリム真剣になる、さまになっている。実にうまい、

この船 今日のレ−スは、ブービー賞、

まあレ−スの事はええ。

日曜の夕暮れあまり人ののっていない甚兵衛渡しが横切る、

ウエィブ! 

やがて尻無川水門スピンランで通過、 

43号線橋脚下 30cmをウインデックスの頭が通過、

スプリットの西風にスピネーカーが大きく膨らむ。

70年以上前 淡路から瓦を積んだ帆船が、

大きな帆に風をつつんで走っていた同じ川面をいま、

三人のヨッパライとおねえちゃんは、

ひたすら帆掛け船の残像を追い掛け 

上流をめざし走るのである。

やがて夕凪時を迎える。